バタフライの指導 (2-2)P.3

長時間バタフライからみた一般児童に対するリカバリー指導~

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『指導の際の主なポイント』

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『指導の際の主なポイント』

①水泳は水を動かすスポーツ
②腕を主体としたクロール
③“うねり”は大きく、第2キックは蹴り幅を大きく
④リカバリーの軌道は水平にしない
⑤その他細かな部分は個々のオヨギに合わせてアドバイス
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以上は、私が「週1で水泳をする一般児童(※1)」に対して「水面上で両腕を前方に戻すバタフライ」の指導を行う際に意識している主なポイントです。さらに、それらについて深堀りしていきます。
(※1)どちらかというと非力で運動が苦手な小学高学年や3泳法を習得した小3・4年生を意識して書いています。

上の①と②に関しては最初の泳法(クロール)を習得する段階から意識させる部分です。つまりは心構えであったり考えの土台をつくる事と言えます。非力な子供にとって①②を省いた指導をしてしまうとバタフライの段階に到達した時にいつまで経っても「蝶々」が出来ず詰んでしまいます。臭みとりやアク抜きなどの下ごしらえをせずに料理をするようなものでしょう。

①水泳は水を動かすスポーツ

…クロールでは腕で水を捉えて、それを後方に送ると体は前に進みます。立ち泳ぎでは足裏で水を床に送ると体は浮き、さらにその状態で前方にも水を送ると後退していきます。つまり、「水泳は、水を送る方向と反対側に体が進みます」。

水を掻くと水流が発生します。水流が強ければ強いほど、進む勢いが増します。水慣れ指導で、指導者が腕で強烈な水流をつくり、それを生徒に当てます。それはまるで海岸に打ち寄せる波のようなインパクトを子供に与えます。波が子供の胸にググン!とぶつかり、それが脇の間や太ももに流れて「くすぐったい」。そのような体験を与え続けると、子供は水泳というスポーツの本質を少しずつ理解するようになります。

腕や足をガムシャラに動かすのではなく、捉えた水を後方に送れば前に進むのだよ…さらにその水流が強ければ強いほどに勢いよく進んでいくのだよ…水泳というスポーツの特徴(*)をビギナーの段階で伝え、その後の練習における心構えを築く必要があります。表題に水泳は水を動かすスポーツとありますが、言い換えると水泳は腕や足で水流をつくるスポーツとなります。
(*)水泳というスポーツの特徴及び、それぞれの泳法の特徴を伝えることは習得において有効的です。

バタフライで「蝶々」を表現するには体を浮上させる必要があります。いったい、体のどの部分まで浮上すれば良いのでしょうか。それは水を掻いた時に水面上に肩が出るまで(*)浮上する必要があります。この時、水面上にチラリと脇が出ていれば充分に肩が水面上に出たと言えるでしょう。脇まで浮上させるには先ほどの「水を送る方向と反対側に体が進む」…この考えを利用します。つまり、バタフライで浮上するには腕や足を使ってプールの床に向かって水を送る必要があります。これらを生徒が理解すれば、ガムシャラ力任せに泳ぐことは無くなり、腕や足で水を「どの程度の強さで」・「どの方向」に流すかという意識が生まれます。そうすると、生徒達は腕や足をつかってプールの床に水流をぶつけるように練習し、その積み重ねがやがて体を浮上させることにつながります。
(*)肩の柔軟性があれば、肩を出す必要性は低いかと思いますが、ここで想定しているのは広く「一般児童」です。柔軟性が無いこともを想定しています。


・・・つづく