水慣れ指導、とあるケース

~はじめに~

この投稿は昨日投稿の『ジェットコースターと平手打ちとタカシ君』を読んでからご覧ください。

たぁ君…いえ、私千葉が一番伝えたいのは「面白い」が「怖い」に勝つ雰囲気をつくることで以下の水慣れ指導が成立します。うまくいけば…の話です。

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~水慣れ指導、とあるケース~

私の教室には「水が怖い」という生徒も訪ねてきます。最初は、顔つけすら儘ならず(ままならず)、その先の“けのび”やバタ足も出来ない状況です。

ですが、「水が怖い」というのは条件が揃えば(水深や性格なども含む)、数時間で変化する場合もあります。

恐怖は紙一重の性質を持っています。比較的うまくいったいくつかのケースのうち、共通の要素となる部分を以下に記します。

■主な練習内容

・シャワー
・顔ゴシゴシ拭く
・鼻をかむ…鼻に水が入った時の対処法
・顔をつける直前は限界まで息を吸う
・ゆっくりと顔をつける→ゆっくりと顔を上げる
・毎日1回の顔つけ自主練(これを1か月以上習慣化)
・アームヘルパーを手首につけて“けのび”
・↑は浮くことよりも立つ動作を徹底
・↑の空気を徐々に抜く→最後は外す

 

上記の
濡れた顔をゴシゴシ拭く,
鼻をかむ,顔つけはゆっくり(*),
浮いた姿勢から立つ動作,
…私はこれらに関して「水泳の受け身」と表現しています。プロレスラーは相手を投げる前に自分の身を守る術を先に習得すると聞いたことがありますが、水が苦手な子に対してもまずは水泳の「受け身」の練習を徹底します。
(*)水苦手な子供は「えいや!」と勢い良く顔をつけようとします。ですが、それでは水流が発生して鼻に水が入りやすくなります。

最初のうちの私は1歩引いて子供のペースに合わせますが、徐々にゴリゴリ押して指導する場合もあります。例えば顔を1回つけるとすぐにゴーグルを外して顔をぬぐう子がいますが、それでは時間効率が悪いので3回顔つけ後にゴーグルを外しても良いと指示します。それでも1回でゴーグルを外そうとする生徒がいるので「若者よ、我慢するのじゃ」と促します。こういう精神論的なものに触れる場合では「面白い」が「怖い」に勝つ雰囲気をつくることが望ましいです。上手くいかない時もありますが、そういった内容に耐えられるかどうか…を表情などから感じとろうとしています。

前述の精神論的なものに触れたレッスン後、お母さんに「次の千葉レッスンはいつ?」と旅行の日を指折り数えるように聞いているのなら「面白い」が「怖い」に勝ったかな?!と少し感じます。玩具やお菓子をねだる様に、プールをせがむ・・・というのが、私が密かに狙っていることでもあります。難しいですが・・・

水慣れで停滞している子供は指導者の説明したことを正確にやらない傾向にあります。指導者をナメているのでは無くて、これまでの経験でそういう指示をされなかった、優しすぎる指導を受けてきたというのが関係しているのかもしれません。もしかしたら正確にやっていないことを「同じようにやってね」「今のはやってませんね」など指摘されることが少ないのかもしれません。

そんな子供には「ま・ず・は・千葉の説明書通りにやってね」と言っています。例えば息をしっかり吸ってから顔をつける と伝えているのに息を十分吸わずに顔つけしようとします。そういう時は顔つけの度に(千葉の)指を(千葉の)口もとに指して何度もアピールします。息を吸う動作を体で覚えるまで何度もしつこくしつこくしつこく繰り返します。

このようなケースでは、多くの人が当たり前だと思っていることが出来ていなく(※)、ある動作直前の体の特定の部位や、その動作後に見せる行動などを観察する必要があります。
(※)濡れた顔を両手で拭くなど…「はぁ?そんなこと?!」って感じるかもしれませんが、それが出来ないのです。そこから練習します。ちなみにシャンプーハット着用が習慣化されている場合は、やはり顔を拭くという経験が平均よりも少なく、水をぬぐう動作が緩慢であったり適切でない場合があります。そういったことが水慣れ停滞の要因になる場合もあります。転んだら膝をさすって「イタイイタイの飛んでいけ」これが出来たら走るのも怖くないはず。

~おわり~