Q&A 第8回

Q 近くのスイミングスクールの一般コースに子供を通わせていますが、なかなか上達しません。何が原因かよくわからないので困っています。マンツーマンレッスン受講希望ですが、希望の時間帯はキャンセル待ちとのことなので検討中です。

A 解決する方法を簡潔に言い表すと「十分な練習時間の中で適切な練習を行う」必要があります。

具体例:

「指導者側がイメージしている目標地点を生徒自身もイメージ出来るように伝えているか」

「生徒側がお話を聞いて、内容をつかむ(子供が出来る範囲で可)」(*1)

「今からやる練習にはどんな狙いがあるのか、そのためにはどんなことに注意・意識して練習するのか生徒側が把握する(子供が出来る範囲で可)」(*2)

「生徒がその“ねらい”やポイントを意識しながら泳ぐ(子供が出来るレベルで可)」(*3)

「指導者が伝えた内容を生徒がある程度理解していて、その方向に向かって生徒が練習出来ているか確認しながら指導する」

「練習の狙い通りに生徒が動いていない場合は、指導者が別の伝え方や練習方法を選択する」


 集団指導ではおそらくマニュアルや集団の平均値に合わせてレッスンを進行していると思います。集団の平均値に合わせた指導が問題ない場合は、上の*1,*2,*3のうちどれかが上手くいっていないのかもしれません。実際にお子さんの練習風景を見たことが無いので断言できませんが、話を聞いている雰囲気があるものの実際には半分以上を理解していない場合もござます。「今日はどんなことに注意して練習したの?」と質問して「・・・???」とまともな返答がない場合は講師の話を聞いている素振りだけかもしれません(自信が無い場合も有る)。「おへそを見た(頭を入れた)」という返答の場合…実際に観覧席から泳ぎを見た時に「そうは言っているものの頭が出ているな」と感じたら、お子さんがその場を取り繕う返事をしているのかもしれません。ですが、この場合は「泳ぐ時には頭を入れる」というオヨギのポイントは記憶にあるということなので、*3の「 “ねらい”やポイントを意識しながら泳ぐ」ということが出来ていないのかもしれません。その場合は泳ぐことに夢中になりすぎていて”頭をつかって考えて練習する”という事が出来ていないのかもしれません。 ”頭をつかって練習する”というのはその場の環境や雰囲気に左右される場合もあります(*4)。泳力を伸ばすことも大切ですが、練習する際の”心構え”が育っていないと、どこかの段階で停滞するケースが多いです。

  当教室に通うことが難しい場合は、ご家族さんとお近くのプールで練習されることをおススメします。実際に読者のお子さんと練習したことが無いので断言できませんが、上記をお子さんに強制しても継続的な上達は難しいと思います。。「この時はどうするの?」と質問を交えながら「今のこういう動きだったよ」と褒めたり否定したりせずに見たままを伝えると徐々に本人さんの意識が変わってくるかもしれません。何度か練習するうちにお子さんのオヨギにほんのわずかな変化がありましたら即座にその時の様子を伝えてあげてください。その時に「今のどうやったの?(幼児さんの場合は…どんなワザを使ったの?)」。答えない場合は「ねぇ~ねぇ~!教えてよ~ズルいよ~自分だけの秘密にしないでよ~~」と迫るとお子さんは何だか照れ臭い、でも自分が特別なワザを持っているのだとちょっと得意げになるでしょう。そういうやりとりの中で オヨギに対する「気づき」があれば、大きな一歩になると思います。(お子さんの性格や親子・指導者との関係にもよります)

 ご家族さんで練習される場合、最初のうちは親子の甘えがあるので集中が続かないと思います。初回の練習日に「60分は練習をしよう!」と意気込むのではなく、まずは幼児・小学低学年であれば10分,高学年は20分の練習から始めてください。もちろん時間が来れば自由(*5)にさせてあげてください。そこから練習回数奇数回ごとに5分ほど練習時間を長くしていくと中・長期的に練習が出来ると思います。ドカンと1発みっちりと練習させて「もう、プールに行きたくない!」と断固拒否されプールに行かなくなると上達はストップします。ちょっとグズるけど練習後の自由時間の期待感からプールに足を運んでくれるだけで「こちらの思惑通り」としましょう。…これは妥協ですが、プールに足を運んでくれれば、満点のうち半数以上を得た・・・つまり“勝ち”ではないでしょうか。

(*4)水泳は力尽くで出来るスポーツではありません。技術的要素の強いスポーツですので、 ”頭をつかって練習する”というのが継続的なレベルアップに必要です。

(*5)公共のプールは自由コースであっても“マナー”が存在します。遊園地などのレジャープールで無い限り他の練習者の邪魔にならないよう右側通行を守って自由にお過ごしください。これは監視員に注意されなくともマナーが存在します。プール監視員は、雇用者によるスタッフ教育が充分でない場合が多く、案山子(カカシ)状態の監視員もいらっしゃいます。公共プールの場合はどんな運営内容であっても行政からの契約金はほぼ一定額と予想され、出来高制で無い限り業務内容を良くしていくという雰囲気が無い管理会社も存在します。ベテランの様に見える監視員であっても“プールを見てるだけ”の方も一定数いらっしゃるので保護者の方の安全管理は必須です。他の方と事故を起こして金銭が絡むトラブルに発展しないようにお気を付けください。

 

水泳の個別指導教室

京都・滋賀

千葉隆礼