水中ジャンプ (6)〜水をとらえる〜

ボビングジャンプシリーズ…前回は腕の動作をお話致しました。


息継ぎの際に腕で水を押さえるようにすると、体が沈みにくくなり息継ぎのタイミングが合いやすくなるというものでした。

この腕動作は水を掻くようにするわけですから、他の泳ぎ(クロール・平泳ぎなど)に通ずるものがあります。

手のひらや腕でしっかりと水をとらえて、グーっと水を掻いていきます。けっしてピッと素早く水を掻いていくわけではありません。

ボビングジャンプの際にしっかりと水をとらえ下に(プールの底に)向かって掻く動作ができたら、今度は水を掻く方向を工夫してみます。前回のお話のように下に掻くと体は浮きやすく、やや後方に掻くと体は前進します。

では、今度は手のひらで水を送る方向を前方にするどうでしょうか?(前方に向かって押すようにする) ・・・そうすると体は後退します。

同じくボビングジャンプの息継ぎの際、両手で横に水を送ると体は反対側の横(右に送ったら体は左に移動する)へ移動します。

このように、手のひらで水を送る方向(掻く方向)を変えることによって、前に進んだり後ろに進んだり…はたまた体が回転したり……腕でしっかりと水を捉えて意図する方向へ水を送ることができると体の進む方向はそれぞれ変わってきます。

これは後の泳法技術の理解に必要な要素です(※)。大人にとっては当り前なことですが、子供にとってこんな簡単なことも当り前では無いのです。実際に水中でやり、体験することで理解を深め記憶に定着させます。

※・・・例えば、バタフライは腕を水面上で戻すために浮上してこなければいけません。ただただ後方に水を掻くのでは充分に浮上させることが難しいでしょう。実際には若干下方(斜め下)に水を掻いていきます。そうすることで体を前に進ませながら浮上することが出来るのです。さらに両手を水面上にあげるときに掻き上げてはいけません(バタフライが出来ない子はこういったケースが頻繁にあります)。掻き上げると体はその反対側に進もうとします。もうお分かりだと思いますが、掻き上げると体は下方に進む・・・つまり沈んでしまいキレイな腕の戻し動作を行うことが出来なくなるのです。

子供の場合は遊びの要素を取り入れて、息継ぎの際に色々な方向へ水を掻いてみましょう。また、↓図のように手のひらの形を変えてみましょう。手のひらに水があたる感覚がそれぞれ違ってきます。ぞれぞれの違いを感じながらボビングジャンプをしましょう。

水をとらえる“感覚”は、クロールなど実際に泳ぐにあたってとても重要な要素になってきます。手のひらや腕で水をしっかりとらえると、ひと掻きでスーッと進む伸びやかな泳ぎになり、バタフライではグンッと体が持ち上がり理想的な腕の戻しが出来るようになります。


手のひらの形を変えたり、前に進んだりバックしたり、体を回転させたり…同じボビングジャンプでも様々な動作を取り入れて遊びながら水に慣れ親しんでいきましょう。そのためにはしっかりと水をとらえ掻いていくことが大切になります。手のひらや腕を使って「お水さん」と会話するのです♪