生徒と赤の他人

私の指導方針は「初級の間は遠泳を見据えたオヨギの習得」です。理由はいくつかあります。1つは遠泳が出来るラクなオヨギを習得すると限られた時間内にたくさんの反復練習が出来るという点です。もう1つはラクなオヨギを習得すると「どこまで泳げるのだろう?」と限界に挑戦する子供が多いからです。

私の教室では週1で通う生徒の40%は1000m遠泳を達成しました。彼らはこれまでの練習で獲得した技術を駆使しながらジョギングをするかのようにゆっくりゆっくり泳ぎます。だいたい50mを2分前後のペースです。

この間、私はカウント係です。「50m…100m……300m…」たまに「もっとゆっくり~」とか「その調子」などの声をかけます。

500m(20分以上)を越えたところで周りで泳いでいるおっちゃんおばちゃんの表情が変わります。「あれ?あの子いつまで泳ぐのだろう?」
知らない人からの視線を感じるようになります。

1000mに達すると多くの生徒達はスッキリとした表情でオヨギを終えます。まれに、周りのおっちゃんおばちゃんから拍手が沸き起こります。

拍手の主は名前も知らない会話もしたことも無いおっちゃんおばちゃん達です。小さな子供の挑戦は時として赤の他人の心を動かします。彼らは人生で初めての1000mを達成しましたが、同時に人に感動を与える挑戦を成し遂げるのです。

 

水泳,スイミング,個別指導,
千葉隆礼