バタフライ 長距離・長時間 〜日記27〜

■教室と長距離泳と長時間バタフライ■

当教室では週1で水泳レッスンを受講する小学生のうち累計(重複無し)で30人以上が1000m遠泳を達成しています。これは教室開設の2014~2020/2月までの定期受講生77名から集計したもので、実におよそ40%の生徒が達成したことになります。達成した者のうち、ほとんどがクロールか平泳ぎで、顔上げ平泳ぎ遠泳も5名ほど達成出来ました。先日には小学高学年の生徒2名が45分で1,700m泳ぎ、クロール・平泳ぎともに教室としての最高記録がこれにあたります。レッスン内での遠泳は小一時間泳ぐことになるので、強制で泳いでもらうことは難しいです。実力のある生徒に促すことはしますが、強制参加の“行事”として長距離をさせることはありません。「何m出来るかやってみるぅ~」と自分の無限の可能性に挑戦したい…あの少年少女の持つ“ワクワク”は私に多くの刺激を与えます。

密かに狙っているのは、週1で水泳を習う一般の小学生が1000mバタフライを達成するということです。これはとても強制で出来ることではありませんので、生徒自身が「挑戦してやる~♪」という気持ちが無いと達成できません。

教室でのバタフライは泳法名の通り「蝶々」が飛ぶように、両腕を水面につけないでリカバリー(腕の戻し動作)する泳ぎ方の習得を最初のゴールとしています。競泳競技規則では「体の一部を水面上に出して・・・(水没ルール)云々」ありますが、大会に出場しない一般のお子さんは泳法名の「蝶々(バタフライ)」が出来れば、(最初の段階では)OKとしています。万が一、生徒が1000mバタフライに挑戦することがあるならば、リカバリー中に着水しなければOKとしようと検討しています。つまり、これはリカバリー以外のシーンで水没していもOKとするということを意味しています。もちろん公共プールでのレッスンですので、他の泳者とのすれ違いの際には接触を回避するためにその瞬間だけ片手バタフライになることもやむを得ません(すれ違うまでグライドの状態を保っても良いのですが、小学生に瞬間の状況判断を任せるのは接触の心配があります)。

教室における一般生徒のバタフライ最長記録は連続100mです。お世辞にも運動神経が良いというお子さんではありません。ですが、自身の興味に対してとてつもない強いエネルギーを発するお子さんです。私自身も運動神経が良いほうではなく学生の頃のスポーツテストでは「C」をとった事も記憶にあります。ですが、先ほどの100mの生徒の様に「やってやる!」という無尽蔵の“気持ち”がやがて長時間長距離バタフライを生み出すと思っています。

バタフライ指導において「イルカ」ではなく「蝶々」に重点を置いている理由はさきほどにも触れているように泳法名が「バタフライ(蝶々)」だからです。また「the butterfly stroke」と言うようにstrokeが特徴のオヨギではないでしょうか。

何はともあれ、生徒にはだれからも指摘を受けないオヨギを習得していただきたいのですが、自主練をしない限り週1時間と時間が限られている中で「何をとるか(選択)」という事を考えなくてはいけません。当教室ではバタフライにおいてはイルカ動作や水没してはいけないルールよりもまずは「蝶々」を優先的に“選択”します。リカバリー以外の局面で水没していてもリカバリーで蝶々の様に「飛ぶ」ことが出来れば、完全水没は免れてもリカバリーで肘が曲がっているバタフライよりもカッコ良いと思いませんか?

練習時間が短いからということを理由にして何を優先的に習得してもらうかという考えは「甘え」なのかもしれません。「生徒が興味関心を持ちながら、誰からも文句のつけようのない泳法を習得してもらうこと。そのような光景を見た保護者がお子さんの成長に喜び感動していただく」というのは私の指導者としてのこれからの課題の一つであると思います。

水泳指導者として10年以上経ちますが、いまだに1時間のレッスンを体感時間15分くらいに感じます。体感時間1分の時もあります。最近では「どのような働きかけで水泳を習得してもらうか」ということよりも「どうしたら時間を止めることが出来るのかな」という空想が湧いてきます。生徒からは「時間を止めるなんて無理!無理!」と大人の対応をされてしまいます。そんな時に「ほんなら朝まで練習やー!エイエイ!オー!」と言いますが、私に合わせて「オー!」と唱和する生徒は一人もいません。

時間を忘れるほど夢中にさせていただいている環境に感謝します。

千葉隆礼