最終更新日時:2026年4月1日
茶色の声援
~6時間バタフライに挑戦した大会での
今だから言える話~
1時間を過ぎた頃でしょうか…?息継ぎをする度にプールサイドから
「おい!おい!おい!」
と声が聞こえます。一時的なものではなく、それが何10分も続きます。
『(さわがしいな…)』
…(笑)
心のどこかで黄色い声援を期待していたのに、茶色の声がずっと続くので思わずそう思ってしまいました(笑)
熱心な「おい!おい!おい!」が鳴りやまないので、泳ぎながらチラッと声の方をみると、当時の私の頭と同じツルツル頭のおっさんでした。そのおっさんは、ターンをする度に私のレーンに片足を乗せ私のバタフライを覗き込むようにして「おい!おい!」と叫ぶのです。
あまりにも熱心な声援が続くので、ターンの際に片手を挙げて
『(大丈夫だよ)』
とジェスチャーで伝えました。そうするとスッと遠くへ行きました。
『(それはそれで寂しいなぁ…)』
あれから長い年月が経って当時の様子を振り返ると、あの時の私は寒さでガタガタ震えながら泳いでいました。グライドの度にガタガタ…リカバリーが終わりガタガタ…夏と言えど、非温水の室内プールですから無理もありません。6時間バタフライは寒さと尿意との戦いでした。
たぶん、あの見知らぬおっちゃんはガタガタ震えながら泳いでいる私の体調を察知して「おい!おい!おい!」と声をかけてくれたのでしょう。そんな、おっちゃんの優しい声援を茶色の声援だなんて…恩を仇で返す行為でした。申し訳ございません。
3時間が経った時、鐘がガンガン鳴り響きます。独泳3時間でエントリーした人はここで終わりの合図です。
『(あ~あ、僕も3時間にすれば良かった。もう、ここで終われるのに…)』
寒さの限界はとっくに過ぎていました。そこから6時間までは孤独との戦いでした。なんだか茶色の声が懐かしいような、というか、もう一度茶色の声援を聞かせて欲しい。それくらいに孤独の時間が長すぎました。
無事に6時間を泳ぎきり、授与式の際に完泳メダルを手渡してくださったのが「おい!おい!」のおっさんでした。いえいえ、大変失礼しました。大会の中心的な役員の方でした(驚)。そんな方とは露知らず、茶色の声援だなんて…私の無礼をお許しください。
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京都・滋賀
千葉隆礼