バタフライ 長距離・長時間 〜日記5〜

○プル


 楽なリカバリーをするためにとても大事な局面です。
ここではハイエルボー(*)の技術がとても大切になります。水をとらえ、とらえた水の重さを利用して体を水面上に持ち上げます(イメージ図C)。後の記事でお話しますがプッシュ・フィニッシュで体を持ち上げるのでなく、キャッチ・プルで体を持ち上げるように意識します。ここでは、とらえた水の重さに負けないだけのパワーと技術(腕の面の広い部分を後方斜め下にむける)が必要になります。誤解しないでいただきたいのが、とらえた水の重さに負けないだけのパワー…これは必要最低限で構いません。


  

(*)ハイエルボー・・・両腕を内側わずかにひねり、肩を両耳に近づけるようにワキをグッと広げ、ヒジの頭を斜め前方の水面に向けます(イメージ図C&下図参照)。掻く際は肘を手首よりも高く保ちます。

私に合うハイエルボーの肘の角度は130〜150度位です。肘の角度を90度に近づけると掻く位置が浅くなるため、“水のあたり”が軽くなりすぎます。角度を変えて泳ぎ、自分にとって理想の角度を探してみましょう。
*ハイエルボーの技術習得はドッグプル・ドッグパドルと呼ばれる犬かきの様なドリル・部分練習が有効です。市販書籍をご参考下さい。

前回記事「キャッチ」で体の幅に対しやや広げた両腕は胸に掻くにつれて少し内側に掻いていきます(両腕の幅が狭くなってくる)。

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記事修正2020・8・26,2023・1・3

バタフライ 長距離・長時間 〜日記4〜 

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①ストローク

〜全体的なポイント〜

一言で表すと腕全体で水をとらえ、そのとらえた水を逃さないで掻くことです。別の言い方をすると、とらえた水の重さを感じながらその反作用を得て浮上します。長距離バタフライではスピードを出して泳ぐわけではないですから、力任せに掻く必要はありません。私はゆるやかなS字ストロークで泳ぐことが多いです。S字ストロークはスカーリング動作を伴うので水をとらえやすくなります。もちろん泳ぎの途中でI字ストロークに切り替えても問題ありません。掻く方向は真後ろに掻くよりも、やや下方に掻くと体が持ち上がりやすくなります。


*これからキャッチ・プル・プッシュ・リカバリー・・・など、ストロークの各部分に絞ってお話させていただきます。本日はキャッチからお話します。
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○キャッチ

(図B’)のように入水後深い位置から掻き始めると水面上に浮上する際にたくさんのパワーが必要になりますので、入水し体をうねらせ手のひらの位置が水面に近くなってから掻き始めます(図A→B)。これは頭のやや斜め上の水をとらえるような意識を持ちます。この動作には肩の柔軟性が必要です。

“水のあたり”を良くするために手首を倒すようにわずかに内側に曲げ、水の重さに負けないように手首を固定します(図Aのように手首を反らせたままにしない)。やさしく・柔らかく水をとらえるようにグ〜〜ッと掻き始めましょう。体の幅よりもやや広めに腕を広げます。

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記事修正2020・8・26,2023・1・3

バタフライ 長距離・長時間 〜日記3〜

※先に長時間・長距離バタフライで重要となるポイントをいくつか挙げ、後に詳細を説明したいと思います。

〈簡単なポイント〉

「うねりは大きめ」・・・深く潜る必要はさほどないですが、グライド・のびの時間は長くしたほうが良いです。

「キャッチ・プルで体を持ち上げる」・・・より楽にリカバリーをするためにはキャッチ・プルが大切になります。決してプッシュを頑張って体を持ち上げるのではありません。水をしっかりととらえ、そのとらえた水の重さを利用して体を持ち上げます。

「キックは少なくor弱く」・・・長距離クロールを泳ぐ際と同じ考え方です。どちらのキックも弱く打つか、あるいは第1キック・第2キックのどちらかを打たないようにします。
*2022年現在の私は1ストローク2キックで、どちらのキックも弱く打っています。

「推進はなるべく体重を利用」・・・ある程度スーッと進みのある方が、心理的に気持ちよく泳げます。キックやストロークで推進力を得るのはパワーを消耗します。“イルカとび”のように体重移動を利用して前に進みます。長時間・長距離バタフライはイルカ飛びで着地せず、それを連続で泳ぐイメージです。

「息継ぎ」・・・私の場合、長時間泳いで痛くなった主な箇所が首です。息継ぎの動作が影響して首が痛くなりますが、頭痛も併発しますので日常生活に支障がでました。息継ぎの際、前方を見てアゴをほんの少し前に出すようにすると、楽ですし確実性もあります。しかし、この首の動作が痛みの原因です。首は出来るだけ動かさずアゴを引いて斜め前の水面を見るようにするのが良いでしょう。皮膚感覚で顔のどの部分に水が付着しているか、その水が重力で下に流れていくかを意識出来るようになると息を吸うタイミングがわかると思います。

「肩が上がってきてから腕を戻す」・・・リカバリーの動作中、肩が水面上に上がる前に腕を戻そうとすると、水中の水を掻き上げ体が沈みやすくなります。肩を水面上に出してリカバリーのための道をつくってから腕がそれに続くというのが私のイメージです。クロールや背泳ぎも肩が出てから肘→手と水面上に上がってきますね(ローリング動作も伴いますが)。

「リカバリーの際の親指の向き」・・・親指を斜め下にして戻し、親指から入水しようとすると肩の筋肉が痛みやすくなりますので、リカバリーの際は親指を進行方向に向け指先(人差し指・中指)から入水する(腕をひねらない)。

     
(写真は6時間独泳部門にバタフライでチャレンジした時のもの)

次回へ続く→http://swimschool.jp/2017/05/12/longdistancebutterfly4/

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記事修正2020・8・26,2022・1・3

バタフライ 長距離・長時間 〜日記2〜

 まずはじめにバタフライに限らず長時間泳ぐ際に重要なポイントは何かと考えます。楽に長時間クロールを泳ぐ際に大切な事は、ストリームラインを保ちながらキックをあまり打たない、あるいは強く打たない事ですね。…つまりストローク主体の泳ぎをすることです。同様に長時間バタフライも同じことが言えます。

 みなさんもお察しの通りバタフライは水面上に腕を上げてリカバリーするのが、しんどい要因の1つですね。長時間バタフライを会得するには、いかにして楽に腕を水面上に上げてリカバリーをするか,さらにキックの強さ(回数),うねり具合をどのようにするか…このあたりが焦点になると思います。ですが、なんと言っても一番重要な事は自主練習の継続です。
*競泳競技規則に則って泳ぐには体の水没に関する規則があるため注意が必要。

              (写真はイメージです)

 長時間バタフライは、ストロークやキックなど全ての技術をトップスイマーの様な高いレベルにする必要は無いと思っています。最低限必要なのは、すべてそれなりに基本的な動作技術を習得していることです。これらを土台にしてラクに泳ぐ技術を上乗せしていきます。

 心構えも練習するうえで必要になります。それは、今よりも楽に泳ぐためにオヨギのフォームを考えながら練習する「理屈っぽさ」です。突出したパワーが必要というのではなく思考を含めた能力のバランスの良さが土台になっていることが大切です。

 長時間バタフライを泳ぐと、特に肩・背中・肩甲骨周り・首…が筋肉痛のように痛くなりました。胸筋や二の腕あたりも痛くなりましたが、やはり先ほど挙げた肩まわりから背中が主として痛くなり、常にどのように泳いだらそれらへの影響を少なく出来るだろうと考えて練習しました。のちに、自分なりに工夫したフォームについてもお話させて頂きます。練習後に自分で背中に湿布を貼るのがどれほど大変だったか…。

次回に続きます→http://swimschool.jp/2017/05/08/longdistancebutterfly3/

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記1〜

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  今回から『バタフライ 長距離・長時間 〜体験日記〜』のお話をさせて頂きますが、タイムを縮めながら長距離を泳ぐのではなく、スピードがゆっくりでも良いので長い時間を泳ぎきるという泳ぎの内容になります。また、日記と題記しましたが、私が20代中盤に楽なバタフライ(いわゆるグライドバタフライ?どんぶらこバタフライ?)習得を目指して練習したお話・・・あくまでも体験談です。柔軟性・筋力・運動神経・体の浮きやすさ沈みやすさ・・・個々に特徴がありますので、これから記します内容が必ずしも全ての人に当てはまるわけではないという事を踏まえたう上でご覧ください。楽なバタフライ習得を目指しておられる方にほんのわずかでもご参考・共感になれば大変幸甚です。


 まるでジョギングをしているかのように、ラク~に長い時間バタフライを泳げるなんてとても気持ちの良いことだと思いませんか?この連載での「長い時間」とは、20分以上〜数時間を意味しています。何m泳げたかはあまり追求していません。あくまで何分・何時間連続で泳げたかです。もちろん高みを目指すならスピードを追求しても良いと思いますが、まずは“ジョギングをしているかのようにラクに泳ぐ”そうするとシンドイはずのバタフライを少しは好きになると思います。

 筆者は現在、京都・滋賀を中心に水泳の個人レッスン・グループレッスン教室の活動を生業にしておりますが、元々はスイミングスクールの指導員でした。その指導員時代にこの記事の内容をプリントにして生徒さんに配布したことがあります。その過去のプリント内容に現在の考え方を少しトッピング・アレンジして上書きしていきます。(4泳法についての文献はたくさん市販されているのでそちらを参考にして下さい。)

 バタフライの基礎については市販の本をご参考下さい。このブログ記事はバタフライを力づくで2550m程泳げる方に読んでいただくのがベターだと思います。この記事は、バタフライ「1からの習得」を目指しておられる方にはマッチしないと思われます。

   

 これから連載させていただく内容は上記のとおり、長時間・長距離バタフライにおける私個人の体験に基づく考察や泳ぎ方を記していますので、必ずしも一般的な競泳の泳ぎではなかったり、全てのスイマーが参考に出来るような内容では無いと思います。記事内容はこれからも自分のなかで理屈等が変化しうることなので、それらを踏まえてご覧いただきたいと思います。「この人はこんな考えを持っているんだな〜」ぐらいに思って、内容を右から左へ受け流す気持ちで読んでいただければありがたいです。

※ゆっくりと泳ぐフォームと競泳のフォームとは違う所があるということを踏まえた上で読んでくださいね。

次回に続きます→http://swimschool.jp/2017/05/04/2/

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千葉隆礼

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