バタフライ 長距離・長時間 〜日記25〜

○私と長時間バタフライ

 10年以上前私が当時スイミングスクールの指導員をしていた頃、一つの悩みが有りました。それは、バタフライを楽に泳ぐことが出来ない。もちろん学生時代は水泳部で、泳ぐことに問題はありませんでしたが、スイミングスクールで成人クラスを担当するようになってから「どのようにして楽な泳ぎを伝えることができるのだろうか」という問題に直面しておりました。楽なバタフライってなんだろう・・・そう思いながらレッスンの合間や休みの日を利用してプールでバタフライの練習をしておりました。

 まず最初に取り組んだことは市販の本を10冊以上読み、それらをヒントに初心者に戻ったつもりでバタフライのフォームをつくり直しました。もちろん20代で若いということもあり、力づくで100m以上泳げましたが「やはりバタフライはシンドイ」というイメージから抜けだせないでいました。

 そのころの主な練習方法はバタフライ25m×10本以上。50m×10本以上(往:バタフライ 復:片手バタフライorクロール・背泳ぎなど)。あとはドリルとしてバタフライキックやドッグスイム・・・休憩にイルカ飛び・・・レッスンに向けての他の泳法・他のドリル練習などを練習。

 練習頻度は週2・3回位でしょうか。毎日はやらなかったと思います。3回のうちの1回は仕事休みの日で1時間半〜2時間位集中的にやっておりました。

突然の目覚め!?

 あるとき、その日の練習も終盤にさしかかり、「これから何を泳ごうか・・・?」など考えながら何気なくプルブイを手にとりました。テキトーにプルブイ有りのバタフライでも泳ごうか・・・など軽い気持ちで泳ぎ始めました。ただ、15mほど泳いでからちょっとした問題が起きました。前の泳者が自分にとって遅く、自分のペースで泳げないということに気づきました。こちらはバタフライを泳いでいるのでスピードを出して泳げば抜かせる・・・だがシンドイ・・・かといって別の泳ぎに切り替えて泳ぐのも何か気が進まない・・・。その時、自分の中で「まぁ、いっか・・・この人のペースに合わせ後ろについて泳ごう」そう思い、いつもよりだいぶスピードを落として泳ぎました。その時のプルブイ付バタフライはうねりがとても大きく、キックはほぼ打たずにストロークとうねりのみで浮上してリカバリーをする・・・というものでした。なぜなら少しでも前に進もうとキックを強めに打ったり、力強く掻くと前の泳者に追いついてしまうからです。

 もう1つ新たな問題が起きました。どうやら前の泳者は遠泳を泳いでいるようでした。ターンしても止まらず泳ぎ続けています。その間私は前の泳者のペースに合わせゆっくりと泳ぐことを余儀なくされます。「まあ、いいか。そのままついていくしかないな。」そう言い聞かせ前の泳者についていきます。

 この時いつもと違う感覚に出会います。「あれ・・・今日のバタフライは全然シンドくないな・・・このままどこまでいけるのだろう。シンドくなるまでやってみるか・・・」

・・・そのまま500mまで泳ぐことが出来たのです

 その日の晩、今日得た感覚が新鮮でとてもうれしく「次の練習ではプルブイ無しでどこまでいけるのだろう」そう思い、次の練習で前回得た感覚を思い出しながら泳いだら1000m泳げたのです。

 突然やってきた楽々バタフライの目覚め!?・・・そこから長時間・長距離バタフライの練習にハマっていきます。1000mの次は30分間泳・・・その次は60分間泳・・・今日はトイレに行きたくなるまでノンストップで泳ごう、3000m・・・5000m・・・面白いように距離が伸びていきます。

 そんな中で出会ったのが、チャレンジ24時間泳という日本遠泳協会主催の持久力大会でした。もちろん24時間は泳げる自信がなかったので、私は6時間独泳部門にエントリーしました。トイレや補給など合計で15分の休憩は認められましたが、室内非温水プールでとても寒かったのを覚えております。まさに寒さとの戦いでした。その大会ではバタフライで10,000m以上を泳ぎ持久力大会の達成感を味わうことが出来ました。

 以上、数回に分けて長距離・長時間のバタフライを投稿してきましたが、今回で一旦終わりにしたいと思います。随時、修正は加えると思いますが・・・ご覧いただきありがとうございました。(続きます)

 (6時間完泳後記念メダルをいただきました)

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記事修正:2020・12・25,2023・1・5

バタフライ 長距離・長時間 〜日記24〜

⑪これまでのまとめ

 長時間泳ぐのは自己満足の世界です。もちろん、バタフライは適切なフォームで泳がないと長い時間泳げないということは言うまでもありません。長時間バタフライのコツを一言で表すならば“脱力”です。特に水面上に上がってくる時に、いかに楽に上がる事が出来るか、入水後のグライドでいかに少ない力で進むか…がポイントになってきます。

 クロールや平泳ぎはスピードを上げるとしんどく感じ、緩めると楽に長く泳げると思います。バタフライでも同じことが言えます。バタフライがしんどく感じる人の多くが力を入れて泳いでいたり、速い速度で泳いでいたりします。

 長時間バタフライを泳いでいて私が気持ち良いと感じるのは、掻いたりキックした惰性でグ〜ッと進む瞬間です(グライド)。ボートで1掻きした後にスーッと水面上を進むように、水の中を滑るように進むのは快感です。

※ゆっくりと泳ぐフォームと競泳のフォームとは違う所があるということを踏まえた上で練習するのをオススメします。

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記23〜

「練習の際の注意」

 バタフライは腕を大きく広げてリカバリーをするので、一般開放のプールで練習する際は他泳者との接触に気をつけなければいけませんすれ違う時は片手バタフライをするか、グライドを長めにとって対向泳者が通り過ぎるまでやり過ごすなど、どちらかを必ず行いましょう。もちろん隣のコースの泳者と接触することもありますのでそちらにも気をつけましょう。

   

 後、前の泳者を抜かす時は足をタッチしてからプールの中央側を通って抜かす…というのが一般的なマナーのようですが、意外と浸透していないプール・地域もありますので注意が必要です。ターン前でタッチをするとスムーズに順番の入れ替えが出来ると思います。しかし、前泳者をタッチすることは誤解されたり、勘違いされる場合も全くないとは言い切れませんので注意しましょう。ゆっくりバタフライを泳ぐ際は抜かされる時が多いので、周りのスピードにあったコースで練習をするか積極的に先を譲りましょう

 もちろん、歩行者にもマナーは必要です。後ろからスピードのある泳者が来たらコース端に寄って先を譲る。飛沫が気になるならゴーグルをするなども他者への思いやりです。水泳は飛沫が上がるスポーツです。プールはそういった環境です。大袈裟な表現かもしれませんが、偶発的に他者の飛沫が顔にかかったからといってしかめっ面するのは、他者へ畏怖心や不快な思いを与えるので迷惑行為だとも言えます。

 一部地域でバタフライ禁止のプールがあるというのを聞いたことがあります。そのような禁止事項を設けた公共施設管理者の管理能力不足によるものだと思いますが、すべての利用者がそれぞれに譲り合う精神を持てば○○禁止とはならないはずです。中には泳げないからといって泳げる人に妬みや嫉妬をもってか、飛沫が飛ぶなどと言って○○禁止を管理者へ願い出る人もいるようです(私もあなたが発する水流の影響で泳ぎにくいです)。それをすんなりと容認する施設管理者もまた然りです。管理者もその場しのぎで○○禁止とすれば丸く収まると思っているのかもしれませんが、禁止、禁止…とすれば水泳の面白さは無くなりやがて競技人口も減ってくるでしょう。成長の無い文化ほどつまらないものはありません。競技人口が減れば施設の維持が出来なくなり管理者の仕事も無くなります。

 今、管理者や施設管理会社が水泳に関する事業で利益を得ているのは、ほとんどの学校でプールを併設していただき水泳が学校授業の1つとして採択されているからだということを忘れていはいけません。数十年後、数百年後の水泳界の発展を想うなら、ジワジワと自身や会社の未来を苦しめることになっているのを自覚する必要もあるのかもしれません。

 泳げない人にとって「バタフライはカッコ良くて夢のあるオヨギ」であると認識してもらう必要があります。「バタフライは迷惑なオヨギ」だという認識を施設管理者が率先して周りの人に認知させるのは水泳の普及ではなく衰退活動だと思います。私水泳人からすれば公共施設管理者の不適切な管理行動そのものが迷惑です。そもそも安易な方法をとっているだけで、細部までに熟慮して行動するという感覚が無いからその場しのぎの禁止事項を設けるのかもしれません。最近では様々なバランスに配慮しながら「うまくやる」ことが出来ない人が増えてきていると感じます。
*ビジネス目的の私営プールの場合は、○○禁止等あっても仕方ないと思います。上記は公共プールで○○禁止についてのお話です。

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記22〜

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使用ゴーグルについて

   

 長い距離を泳ぐので、長時間つけっぱなしでも痛くならないものを使用したほうが良いです。競泳用のレンズのように小さいゴーグルよりも、フィットネス用ゴーグルの様に少し大きめで目に接する部分がラバーになっているものが楽だと思います。言うまでもありませんが長時間泳いでも水の入らないゴーグルが良いです。持久大会では何があるかわかりませんから代えのゴーグルを用意しておいたほうが良いでしょう。また、大会で飛び込みスタート無しの場合、ゴーグルのヒモを水が入らない程度にゆるくしておいたほうが締め付けられず楽です。また、曇り止めはつけないほうが良いかもしれません。曇り止めは水で濡れるとだらだらと垂れてくることがありますので、私はあまり好みませんでした。

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記事修正:2020・12・25,2023・1・5

バタフライ 長距離・長時間 〜日記21〜

「泳いだ本数のカウント方法例」

*スマートウォッチが使えると↓のようなアナログ方法など考えなくとも良いと思います。

 長時間泳はある一定の時間を泳ぎきることが目的ですから、何mを泳いだということは本来はあまり関係が無いのですが、やはり気になる所です。私の場合は、○分およいで大体50mを△秒のペースだから今日の練習は×m泳いだかな…と後で計算することが多いです。プールサイドにカウンターを置けるのなら問題はないと思いますが、それができない施設もありますので、その様な場合のカウント方法をご紹介します。以下に説明するのは、25mプールを想定し、プールの往復50mを1本と数えます。

*以下は貴金属をプールへ持ち込んではいけないということを想定しております。

   

 まず、用意するのは指と輪ゴムです。最初に輪ゴムを外れないように腕につけておきます(図Pの⑪)。スタートして(1本目)けのびをしますがその際に人差し指で“1”を表現します(図Q)。さらに25m泳いでターンをする時も忘れないように指で“1”を表します(図Q’)。またさらに25m泳いで計50mのターン後けのびをする際に人差し指と中指で“2”を表現しましょう(往復2本目になるから)(図R)。それを、両手の指の数…つまり10まで繰り返します(図S)。

 10本目を泳ぎ終え11本目を泳ぐ際は、指の数が足りなくなるので腕につけておいた輪ゴムを外れないように左手小指につけます(図P’)。忙しいですが11本目のけのびは輪ゴムをつけかえてさらに指で“1”を表します(図T)。その瞬間に出来なかったら、グライド途中に素早くつけ替えます。左手小指につけ、さらに10本を泳いだら輪ゴムの位置を左手小指から薬指に付け替えます(図Pの②)→またさらに10本を泳いだら中指(図Pの③)→さらに10本で人差し指(図Pの④)…輪ゴムが左手の指をひと通り進んだら今度は右手親指(図Pの⑥)→人差し指(図Pの⑦)…最後は右手小指へと50mを10本泳ぐごとに付け替えます。

 つまり、往復の本数1の段をターン時のけのびの際に指で表現し、10の段は輪ゴムを指につけて表現するということです。輪ゴムが指1本分移動する時は500m泳いだことになり、それが10本の指を移動した場合は5,000m泳いだことになります。念のため代えの輪ゴムを腕につけておくと切れたり落としたりした時に安心です。一度止まって輪ゴムを付け替えるのではなく、けのびで体がプールの壁から離れ進んでいる時にすばやく付け替えます。ただしこの方法は、輪ゴムの締め付けで血が止まるのじゃないかと心配になります。

  • ターンの際に○○本目を指で表現する。
  • 往路から復路へのターンも忘れないよう指で表現する。
  • 10本泳いだら輪ゴムの位置を変える

 もうひとつの方法は、編み物やゴルフをする時に使用するカウンターがあるようです。何本まで数えられるかわかりませんが、正確に数えられると思います(実際に使用したことはありません)。カウンター機能がある腕時計も売っているかもしれませんが、プールによっては貴金属をつけてはいけないルールがあると思いますので注意が必要です。

 私はバタフライ無休での最長記録は5000mです。トイレに行きたくなって止まった、つまり膀胱の限界が先でした。大会では6時間10,000m以上泳げましたが大会規定により累計15分の休憩が許されました。このころの私のバタフライは水没ルールに抵触していたと思います。その頃は、競泳競技規則は既に目を通していたものの私の読み込みが甘かったと思います。とあるバタフライ選手の日本水泳選手権での失格を目の当たりにしたのは、私が長時間バタフライに挑戦した数年後でした。

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記事修正:2020・12・25,2023・1・5