バタフライ 長距離・長時間 〜日記7〜 

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○リカバリー

前回記事では肩が水面上に上がってから腕を抜き上げるという内容でした。一般的には水面に対して低く水平に腕を戻すのが理想とされていますが、長時間バタフライではオデコの上に向かって弧を描くように戻しても構いません。人によってはコチラのほうが楽に感じる方もいます。この際、手首から先を脱力してリカバリーをしましょう。

親指を下に向け手の甲を前方に向けたままの状態でリカバリーすると(下図)、腕をひねる動作が必要になり肩への負担となります。

長時間・長距離バタフライでは親指は前方(手の甲は真上に)に向けると良いでしょう(下図)。しっかりと掻けていれば浮上時間が長くなるので、意識して素早く戻す必要はありません。肩の柔軟性があるほど楽にリカバリーが出来ます。フィニッシュ後にフッと脱力してリカバリーをしましょう。

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記事修正:2020・12・25,2023・1・3

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記6〜 

○プッシュ

  体を持ち上げるにはキャッチ・プルが重要と前回までの記事にありますが、プッシュはそのフォロー(ダメ押し)を行うイメージを持って行います。真っ直ぐに水を押しこむのではなく、お腹や腰の辺りから“ハの字”を描くように斜めに水を払います(図Y)。この時に手首を反らして浮上する方向と反対側に手のひらを向けるようにします。上手くいけば後方斜め下に向かって水流が出来ます(プールの床に水流をぶつけます。)。手首を反るのは、映画『アイアンマン』の飛行シーンのイメージです。キャッチ・プルが充分に効いているなら力を込める必要はありませんが、肘が伸びきるまで最後まで払い切るのが良いでしょう。

○フィニッシュ〜抜き上げ

 この局面では、次のリカバリー動作につなげることが大切です。推進を得るために力いっぱい頑張って水を押しこむことは意識しません。また、キャッチの段階から充分に水をとらえて掻くことが出来ていると、プッシュが終わるまでに肩が水面上に上がった状態となるはずです。

  

フィニッシュ〜抜き上げでは、プル〜プッシュまでに水面上に上がった肩をなるべく沈めないように意識します。

 キャッチからプッシュで水面上に上がった肩が、フィニッシュ〜抜き上げで再び水没していまい、結果としてリカバリーで水を引きずってしまうというのを頻繁に見かけます(*1)。リカバリーの際に水を引きずると、とんでもない抵抗を受けてシンドイだけのバタフライになりますね。

 このような悲劇にならないためにも両手の位置が水面付近にくるようプッシュ・フィニッシュ動作を行います。このようにフィニッシュ後両手の位置が水面近くにあると、掻き上げる動作が少なくなる分、その後の抜き上げがスムーズになります。反対にフィニッシュ時に両手の位置が水面下深い位置にあると、抜き上げの際に水を下方から上方に掻きあげる動きとなり、その反動で体が沈んでしまいます(*2)。せっかく水面上に上がった体が沈まないよう、小指から抜きあげましょう(図X)

*1 肩関節が柔らかくない限り肩が水没すれば腕も水面上にあがりません。

*2 基本的に水を送った方向と反対側に体が動きます。クロールでは後方に掻くと体が前に進みますね。スカーリングで前方に水を送り体をバック・後進させて遊んだ事はありますか?これも理屈は同じです。抜き上げ時、腕を水面下深いところから水面に向かって動かすと体が反対方向に動きやすくなる・・・つまり沈むということです。この沈みを抑えるためにフィニッシュでは両手の位置が水面近くにあるのがベターです。掻き上げてしまう動作が少なくなる分、体の沈みも抑えることが出来ますね。

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記5〜

○プル


 楽なリカバリーをするためにとても大事な局面です。
ここではハイエルボー(*)の技術がとても大切になります。水をとらえ、とらえた水の重さを利用して体を水面上に持ち上げます(イメージ図C)。後の記事でお話しますがプッシュ・フィニッシュで体を持ち上げるのでなく、キャッチ・プルで体を持ち上げるように意識します。ここでは、とらえた水の重さに負けないだけのパワーと技術(腕の面の広い部分を後方斜め下にむける)が必要になります。誤解しないでいただきたいのが、とらえた水の重さに負けないだけのパワー…これは必要最低限で構いません。


  

(*)ハイエルボー・・・両腕を内側わずかにひねり、肩を両耳に近づけるようにワキをグッと広げ、ヒジの頭を斜め前方の水面に向けます(イメージ図C&下図参照)。掻く際は肘を手首よりも高く保ちます。

私に合うハイエルボーの肘の角度は130〜150度位です。肘の角度を90度に近づけると掻く位置が浅くなるため、“水のあたり”が軽くなりすぎます。角度を変えて泳ぎ、自分にとって理想の角度を探してみましょう。
*ハイエルボーの技術習得はドッグプル・ドッグパドルと呼ばれる犬かきの様なドリル・部分練習が有効です。市販書籍をご参考下さい。

前回記事「キャッチ」で体の幅に対しやや広げた両腕は胸に掻くにつれて少し内側に掻いていきます(両腕の幅が狭くなってくる)。

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記事修正2020・8・26,2023・1・3

バタフライ 長距離・長時間 〜日記4〜 

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①ストローク

〜全体的なポイント〜

一言で表すと腕全体で水をとらえ、そのとらえた水を逃さないで掻くことです。別の言い方をすると、とらえた水の重さを感じながらその反作用を得て浮上します。長距離バタフライではスピードを出して泳ぐわけではないですから、力任せに掻く必要はありません。私はゆるやかなS字ストロークで泳ぐことが多いです。S字ストロークはスカーリング動作を伴うので水をとらえやすくなります。もちろん泳ぎの途中でI字ストロークに切り替えても問題ありません。掻く方向は真後ろに掻くよりも、やや下方に掻くと体が持ち上がりやすくなります。


*これからキャッチ・プル・プッシュ・リカバリー・・・など、ストロークの各部分に絞ってお話させていただきます。本日はキャッチからお話します。
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○キャッチ

(図B’)のように入水後深い位置から掻き始めると水面上に浮上する際にたくさんのパワーが必要になりますので、入水し体をうねらせ手のひらの位置が水面に近くなってから掻き始めます(図A→B)。これは頭のやや斜め上の水をとらえるような意識を持ちます。この動作には肩の柔軟性が必要です。

“水のあたり”を良くするために手首を倒すようにわずかに内側に曲げ、水の重さに負けないように手首を固定します(図Aのように手首を反らせたままにしない)。やさしく・柔らかく水をとらえるようにグ〜〜ッと掻き始めましょう。体の幅よりもやや広めに腕を広げます。

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バタフライ 長距離・長時間 〜日記3〜

※先に長時間・長距離バタフライで重要となるポイントをいくつか挙げ、後に詳細を説明したいと思います。

〈簡単なポイント〉

「うねりは大きめ」・・・深く潜る必要はさほどないですが、グライド・のびの時間は長くしたほうが良いです。

「キャッチ・プルで体を持ち上げる」・・・より楽にリカバリーをするためにはキャッチ・プルが大切になります。決してプッシュを頑張って体を持ち上げるのではありません。水をしっかりととらえ、そのとらえた水の重さを利用して体を持ち上げます。

「キックは少なくor弱く」・・・長距離クロールを泳ぐ際と同じ考え方です。どちらのキックも弱く打つか、あるいは第1キック・第2キックのどちらかを打たないようにします。
*2022年現在の私は1ストローク2キックで、どちらのキックも弱く打っています。

「推進はなるべく体重を利用」・・・ある程度スーッと進みのある方が、心理的に気持ちよく泳げます。キックやストロークで推進力を得るのはパワーを消耗します。“イルカとび”のように体重移動を利用して前に進みます。長時間・長距離バタフライはイルカ飛びで着地せず、それを連続で泳ぐイメージです。

「息継ぎ」・・・私の場合、長時間泳いで痛くなった主な箇所が首です。息継ぎの動作が影響して首が痛くなりますが、頭痛も併発しますので日常生活に支障がでました。息継ぎの際、前方を見てアゴをほんの少し前に出すようにすると、楽ですし確実性もあります。しかし、この首の動作が痛みの原因です。首は出来るだけ動かさずアゴを引いて斜め前の水面を見るようにするのが良いでしょう。皮膚感覚で顔のどの部分に水が付着しているか、その水が重力で下に流れていくかを意識出来るようになると息を吸うタイミングがわかると思います。

「肩が上がってきてから腕を戻す」・・・リカバリーの動作中、肩が水面上に上がる前に腕を戻そうとすると、水中の水を掻き上げ体が沈みやすくなります。肩を水面上に出してリカバリーのための道をつくってから腕がそれに続くというのが私のイメージです。クロールや背泳ぎも肩が出てから肘→手と水面上に上がってきますね(ローリング動作も伴いますが)。

「リカバリーの際の親指の向き」・・・親指を斜め下にして戻し、親指から入水しようとすると肩の筋肉が痛みやすくなりますので、リカバリーの際は親指を進行方向に向け指先(人差し指・中指)から入水する(腕をひねらない)。

     
(写真は6時間独泳部門にバタフライでチャレンジした時のもの)

次回へ続く→http://swimschool.jp/2017/05/12/longdistancebutterfly4/

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