水中ジャンプ (8)〜補助具-1〜

ボビングジャンプ(水中ジャンプ)のお話の続きです。前回は「けのびバタ足」から途中で水中ジャンプに“変身”するというお話でした。この練習(変身)は水中ジャンプがすんなりと出来るだけの泳力が必要です。

今日のお話はそのレベルから少し戻って、水中ジャンプがまだ出来ないお子様に向けての練習方法をご紹介します。ぜひお子さんをプールに連れて行って、練習に付き合ってあげて下さい。

これからご紹介する練習方法は補助具を使った練習です。前の日記に書いてありますが、水中ジャンプは“フワッ”と水面上に上がって息継ぎをする…コレが、上手に出来ている目安の1つです。

この“フワッ”を体感しながら練習するのに最適な方法が、アームヘルパー(肩ヘルパーとも・上図)を使いながら練習することです。図ではビニル製の アームヘルパーですが、ビート板の様に少しかたい素材の物もあります。オススメは前者のビニル製(ツルツルした素材のものより少しざらついた素材のものが良いでしょう)です。理由は子供の小さな手でも握りやすい事とレベルによって空気量(浮力)を調節できるからです。後者は子供の小さな手では握りにくい場合があり、手からスッポ抜ける場合があるので注意して練習しないといけません。

↑絵のようにアームヘルパーを握ります(もちろん両手です)。

いきなり水中ジャンプをするよりも、まずはこの補助具を使って“浮ける”ということを確認しましょう。両手を大きく広げ補助具を水面下に少し沈ませるようにします(上図)。この時に力んで肘が曲がったり肩が水面上に出たりしないように。無駄な力み無しで3秒位浮けると充分でしょう。楽に浮けるようになるまで繰り返し練習をします。

補助具を使用しての実際の水中ジャンプは次回にお話します。今回のを一言でまとめると「両手でアームヘルパーを持って浮いてみよう」です。「こうすればフワッと浮けるんだ」というのを子供さんにわかってもらうのが一番大事です。この補助具を使って「フワッと浮く」という動作が次回の内容につながってきます。

ではでは…子供さんと一緒に練習するときは安全に気をつけてくださいね。子供の上達よりも安全が最優先です。

水中ジャンプ (7)〜変身!変化!〜

水中ジャンプのお話です。

特にまだ泳げないお子様にとって、水中ジャンプはそれだけが出来ていても実用的とは言い切れません。シリーズ第2話の動作目的でお話をしましたが、「安全の確保」が出来ていないと水への恐怖心や不安感を完全に拭えないでしょう。

マンツーマン指導でしたら指導者が付きっきりなので安全を確保しやすいですが、スイミングスクールでの集団指導でしたらそうはいきません。安全を確保しないといけないし…練習量を確保しないといけないし…そのような時にボビングジャンプが難なく出来ていると、例えクロールの練習で息継ぎに失敗し水を飲んで溺れそうになっても、そこから水中ジャンプをしながらコースロープにつかまったり、プールフロア台に乗ったり、プールサイドにつかまったり…“自分で安全の確保をする”という事が出来るようになります。指導者に頼らず自分で安全を確保できると、指導者がすぐ傍で見る必要が無くなるので(*2)、練習量を多く確保出来るようになります。

*上記はプールの床に足がつかない子を想定しています。
*2:すぐ傍にいる必要度合いが下がる。ただし安全面のため目視は必要。

泳ぐ練習をしていて自分の身に危険を感じたら水中ジャンプに泳ぎを変えてコースロープにつかまるなどして安全を確保する…この安全の確保の為には、「水中ジャンプが安定して出来る」に加えてもうひとつ習得しておきたい動作があります。それはクロールなどの「水平姿勢」から水中ジャンプの「垂直姿勢」へ泳ぎを変化させることです。身の危険を感じたらその場でクロール姿勢から水中ジャンプへ泳ぎを変えることが、自分で安全を確保することにつながります。
*上記はクロールが満足に泳げない子を想定

では、そんな時を想定してあらかじめ練習をしておきましょう。まずは、けのびの状態でバタ足をしてある程度進んだらそのまま水中ジャンプに泳ぎを変えます。泳ぎを変えたらそのまま何度か水中ジャンプを行った後、けのびバタ足に泳ぎを変えます(下図)。

上の図で言うと、最初はけのび状態でバタ足をしています。ちょうど「変身」のところで 水中ジャンプに泳ぎを変えます。

クロール習得中のお子さんが練習中に身の危険を感じたとしましょう(ゴーグルに水が入る、水を飲むなど・・・)。その時に水中ジャンプに「変身」してコースロープなどにつかまります。そのままクロールでロープまで行こうとすると、まだクロールに慣れていないからか体が硬直してコースロープに達するまで時間を要します。また、その場で水中ジャンプをすると、すぐに呼吸が出来るという利点があります。
*プールの床に足がつかない子を想定しています。

上図は水中ジャンプが出来ていればすんなりと出来る子もいると思いますが、泳ぎを変化させるところが少し難しいです。「変身」でけのびから水中ジャンプに変わる時は、けのびで前方にのばした両手で水を押さえるようにしながら顔を前方に上げ、息継ぎをしてから水中ジャンプに入るとスムーズにいくでしょう。

慣れるまでは指導者が付きっきりで練習を見たほうが良いでしょう。スイミングスクールに通っているが水中ジャンプがなかなか合格しないというお話をチラホラ聞きます。ぜひ、お父さん お母さんはお休みの日でもお子さんを連れて近くのプールへ練習をしに行かれてはどうでしょうか?
(短い期間で出来るようになりたければ、自主練をする。これは勉強と同じです(笑)) 

上図の「変身」のところで、子供には「チェンジ!!」とかロボット映画の「トランスフォーム!!」…などと言って遊んでいます♪ また、変身ポーズなんかすると子供は喜びます。(男の子は仮面ライダー、女の子はお化粧など)

子供は全力で子供っぽく振る舞う大人を受け入れます。ただし、中途半端に周りの目を気にしたり恥じらいがあるとたちまち引いてしまいます。水嫌いの子供がプールで楽しく練習するには付き添いの大人が全力で童心に返る必要があります。もちろん童心に返るのは自然な演技であり技術です。時には鬼になり時にはピエロになり・・・安全管理という冷静な意識は残したまま・・・。


千葉 隆礼

水中ジャンプ (6)〜水をとらえる〜

ボビングジャンプシリーズ…前回は腕の動作をお話致しました。


息継ぎの際に腕で水を押さえるようにすると、体が沈みにくくなり息継ぎのタイミングが合いやすくなるというものでした。

この腕動作は水を掻くようにするわけですから、他の泳ぎ(クロール・平泳ぎなど)に通ずるものがあります。

手のひらや腕でしっかりと水をとらえて、グーっと水を掻いていきます。けっしてピッと素早く水を掻いていくわけではありません。

ボビングジャンプの際にしっかりと水をとらえ下に(プールの底に)向かって掻く動作ができたら、今度は水を掻く方向を工夫してみます。前回のお話のように下に掻くと体は浮きやすく、やや後方に掻くと体は前進します。

では、今度は手のひらで水を送る方向を前方にするどうでしょうか?(前方に向かって押すようにする) ・・・そうすると体は後退します。

同じくボビングジャンプの息継ぎの際、両手で横に水を送ると体は反対側の横(右に送ったら体は左に移動する)へ移動します。

このように、手のひらで水を送る方向(掻く方向)を変えることによって、前に進んだり後ろに進んだり…はたまた体が回転したり……腕でしっかりと水を捉えて意図する方向へ水を送ることができると体の進む方向はそれぞれ変わってきます。

これは後の泳法技術の理解に必要な要素です(※)。大人にとっては当り前なことですが、子供にとってこんな簡単なことも当り前では無いのです。実際に水中でやり、体験することで理解を深め記憶に定着させます。

※・・・例えば、バタフライは腕を水面上で戻すために浮上してこなければいけません。ただただ後方に水を掻くのでは充分に浮上させることが難しいでしょう。実際には若干下方(斜め下)に水を掻いていきます。そうすることで体を前に進ませながら浮上することが出来るのです。さらに両手を水面上にあげるときに掻き上げてはいけません(バタフライが出来ない子はこういったケースが頻繁にあります)。掻き上げると体はその反対側に進もうとします。もうお分かりだと思いますが、掻き上げると体は下方に進む・・・つまり沈んでしまいキレイな腕の戻し動作を行うことが出来なくなるのです。

子供の場合は遊びの要素を取り入れて、息継ぎの際に色々な方向へ水を掻いてみましょう。また、↓図のように手のひらの形を変えてみましょう。手のひらに水があたる感覚がそれぞれ違ってきます。ぞれぞれの違いを感じながらボビングジャンプをしましょう。

水をとらえる“感覚”は、クロールなど実際に泳ぐにあたってとても重要な要素になってきます。手のひらや腕で水をしっかりとらえると、ひと掻きでスーッと進む伸びやかな泳ぎになり、バタフライではグンッと体が持ち上がり理想的な腕の戻しが出来るようになります。


手のひらの形を変えたり、前に進んだりバックしたり、体を回転させたり…同じボビングジャンプでも様々な動作を取り入れて遊びながら水に慣れ親しんでいきましょう。そのためにはしっかりと水をとらえ掻いていくことが大切になります。手のひらや腕を使って「お水さん」と会話するのです♪

水中ジャンプ (5)〜腕動作〜

ボビング“ジャンプ”…ジャンプと名前にありますが、ジャンプ動作よりも腕動作の方が比較的重要な気がします。腕動作がしっかりと出来ると息継ぎに余裕が出来、浮を得ながら(フワッと)ボビングジャンプをすることができます。

●潜るとき

両手はバンザイをするようにしながら体の抵抗を少なくして潜っていく。次の両手で水を押さえる動作を考えて、手のひらは体の外側に向けるのが望ましいで す。手のひらを外側に向けていくと、そのままの状態で(手のひらをひっくり返さないで)水を押さえる動作に移ることができます。両手はうさぎの耳のような 形ですね。

●息継ぎの時

両手を大きく広げ抵抗をつくり沈みにくくする。更に両手を広げた状態から 水を少し下に押すようにする。前日の内容にもありましたが、息継ぎの時はアゴまで上がります。アゴまで上がった時(上図)には、肺が水面下にありますね。 その「肺の浮力」+「両手を広げ抵抗をつくる」+「両手で水を押さえる」この動作を合わせることによってフワッと浮く体勢をつくります。それが出来ると余裕がうまれ、息継ぎのタイミングが合いやすくなります。上図の姿勢の時に約1秒弱フワッと“浮”を得ていれば十分でしょう。


※下図にならないように。腕で水を押さえる動作ができていませんね。力みがある子もこのような動作になりがちです。

※腕を水面上に出さないフォームのボビングジャンプもありますが、両手で水をグ~っと押さえるのは共通しています。

水中ジャンプ (4)〜足動作〜

水中ジャンプにおける足の動作 つまり “軽いジャンプ”の動作です。
*この記事は幼児・小学生低学年を想定しています。

陸上でのジャンプなら大人でも子供でも1度はやったことがありますね。

●潜るとき

水中ジャンプの足動作の中で忘れてはいけないのが、ジャンプの“準備動作”です。つまり「膝をまげる」動作です。
膝を伸ばしたままではジャンプができませんから、着地したカカトに向かってしっかりと腰を落としておしりを近づけるようにしながら潜ります(上図)。また、このように”しっかりと潜る”という事は鼻ブクブクを長くしないといけません。これは前回の呼吸のポイントとリンクしてきますね。呼吸動作に余裕がない人はすぐに水面上へ上がろうとしますので、しっかりと潜れるということはそれに余裕があるとも言えます。

●浮き上がるとき

水中ジャンプの“ジャンプ”とありますが、必要以上にジャンプしないように注意しましょう。次回以降「腕動作」についてお話をする時にも触れますが、水面上にアゴが出る程度のジャンプで構いません(上図)。ジャンプを意識し過ぎて高く上がり過ぎないようにします。
強くジャンプして水面上へ体が出すぎてしまうと充分な浮力を得られず、すぐに沈んでしまいます(こうなると息つぎのタイミングを合わせるのが難しくなります。)。大事なのは適度な高さのジャンプを行い、息継ぎの時にフワッと「浮」を得ることです。


(…というのが、ボビングジャンプを教える際にほとんどの方にお伝えする動作です。ですが、お子さんの中には(特に幼児)潜りにくく浮きやすい体質の方もいます。そういう場合には出来る限り高くジャンプさせて、体が沈みやすくなる動作をお伝えする場合もございます。浮きやすい・沈みやすい体質によってオヨギ方は変化します。)

●慣れてきたら・・・

始めの段階ではその場で潜って上がって…の繰り返しで構いませんが、慣れてきたら(*)前に進みながらのボビングジャンプが出来るようになりましょう。前進するには両手で斜め下後方に水を掻くようにし、両膝は少しお腹につけるようにしながら足を曲げていきます。詳しくは次回以降お話をさせて頂きます。
*慣れてきたら・・・アゴまで上がってフワッと浮を得るようなボビングジャンプが十分習得できたら


〈足動作のポイント〉

・足の裏を底へつけ、膝が曲がるまでしっかりともぐる
・ジャンプはアゴの位置まで浮上する程度の強さ(ジャンプは弱め)
・両足を揃えジャンプ。足はバタつかせない(潜りにくくなる場合がある)
・前進の際は両膝を曲げお腹に近づける(抵抗を少なくするため体を小さくする)


●余談

余談ですが、「ボビング“ジャンプ”」「水中“ジャンプ“」 …というとあたかもジャンプをしっかりとしないといけないような印象を受けるので、“ボビングフワッ”とか“ブクブクフワッ”という言葉で子供に伝えても良いかもしれませんね。元気の良い子供だと高くジャンプしたい気持ちになるのは当然ですものね☆